幻想的な世界観とアクロバティックな技で魅せるカナダのエンターテイメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」(以下シルク)。
彼らの32番目のショーとなる「アマルナ」のニューヨーク公演が、3月20日(木)から始まる。
「アマルナ」は2012年、モントリオールで初演。キャストの7割が女性で、シルクの歴史の中では、やや特異といえる。これまでに世界各地で開催され、ラスベガスなどの常設公演よりも規模が小さいとはいえ、そのクオリティーに遜色はない。
今回の会場は、NYメッツの本拠地シティー・フィールド。駐車場にサーカスの原点ともいえる「テント(ビッグトップ)」が設置される。
監督および脚本を担当したのは、アメリカン・レパトリー・シアターの芸術監督で、2013年のトニー賞を受賞したダイアナ・パウルス氏。ブロードウェーミュージカル「ポギー・アンド・ベス」、「ピピン」などの監督としても活躍している。
「アマルナは、フェミニズム(男女同権主義)と、我々の生きる世界の繋がりを、これまでとは違った方法で表現している」とパウルス氏。
また「この作品は仕事、女性の声へのオマージュだ」と語るのは、クリエーション・ディレクターのフェルナンド・レインビル氏。
「ショーには、女性からの視点を多いに反映させている」と、付け加えている。
「アマルナ」とは、母を意味する「アマ」と、月を意味する「ルナ」を併せた造語。
物語は、女神達の支配のもと、月の周期に導かれる神秘的な島が舞台。女王プロスペラは、「再生」を願い、娘ミランダのために成人式を演出する。
そこへ、若い男たちの乗った船が漂着。ミランダはその中の一人、ロミオと恋に落ちるが、恋を成就させるためには、さまざまな困難を乗り越えなければならない…。シェイクスピアの「テンペスト」にインスパイアされた、というストーリー展開だ。
「ピーコック・ダンス」は、白いドレスを着た孔雀の女神が「愛の純度」を表すダンスを披露。
「セルソー・アンド・ウォーターボウル」は、天井から吊るされた輪を使い、月の神が乗り移ったミランダが、女性の妖艶さを表現する。
他にもジャグリング、綱渡り、段違い平行棒、ワイヤーアクションを駆使したパフォーマンスが次々と展開される。
また、日本人パフォーマーも出演。一輪車でスリリングなライディングを披露する境野智美(さかいの・さとみ)さんと友香(ゆか)さん姉妹だ。共に世界チャンピオンに輝いた実力派で、卓越したテクニックがシルクの舞台で冴え渡る。